ひさです。今日は売る側の税金です。
買値より安く売るんだから、税金なんて出ないでしょう?

相談で一番多い勘違いです。買値より安く売っても、税金が出ることがあります。しかも、売る時期を数か月間違えると、税額が倍になる。
先に結論
売ったときの税金は「売値 − 取得費 − 売却の費用」にかかります。取得費は買値ではない。買値から、これまでの減価償却の累計を引いた額です。だから、買値より安く売っても「利益」が出ることがある。税率は、売った年の1月1日時点で所有5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)。
モデルケース
中古ワンルームを2,300万円で購入(建物1,200万円・土地1,100万円)。築25年の鉄筋コンクリート造。中古なので減価償却の期間は短くなり、この例では27年。償却率0.038で、年45.6万円を経費にしてきた。8年持って、2,200万円で売る(買値より100万円安い)。売却の費用は、仲介手数料(3%+6万円)+印紙代で約73万円。
| 金額 | |
|---|---|
| 買値 | 2,300万円 |
| 減価償却の累計(45.6万円×8年) | 365万円 |
| 取得費(買値 − 償却累計) | 1,935万円 |
| 売値 | 2,200万円 |
| 売却の費用 | 73万円 |
| 譲渡所得(2,200 − 73 − 1,935) | 192万円 |
| 税金(5年超・20.315%) | 約39万円 |
| 税金(もし5年以下だったら・39.63%) | 約76万円 |
買値より100万円安く売ったのに、192万円の「利益」に課税されて39万円払う。これが減価償却の罠です。「節税になります」で経費にしてきた減価償却は、消えていたのではなく、売るときにまとめて戻ってきます。
「5年の壁」は、買った日から5年ではない
もう一つの罠が、5年の数え方です。判定は「売った年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているか」。買った日から5年ではありません。
例: 2021年10月に買った人
2026年10月に売ると、買ってから5年経っているように見えますが、2026年1月1日時点では4年2か月。「5年以下」で39.63%です。同じ部屋を2027年1月以降に売れば、2027年1月1日時点で5年超になり、20.315%。上の例なら、3か月ずらすだけで税金が76万円から39万円になる。
2021年に買った人は、2027年1月まで待つ価値があるかどうかを、まず数字で確かめてください。逆に、2020年以前に買った人は、この壁はもう越えています。
損が出たときは、どうなるか
譲渡所得がマイナス(本当の損)なら、税金はかかりません。ただし、ワンルームの売却損は、給料の所得とは相殺できません(自宅の売却損には特例がありますが、投資用にはありません)。同じ年に別の不動産を売って利益が出ていれば、その中でだけ相殺できる。
「損して売れば税金で取り返せる」は、ワンルームでは成り立たない。損は損のままです。
今日やること
この4つが揃うと、「いつ売ると税金がいくらか」が出ます。そこで初めて、「いくらで売り出されている帯にいるのか」を見る順番。トップの金利上昇シミュレーターで、壁を越えるまで持つ間の返済が金利上昇でどう変わるかも並べてください。売るか持つかは、税金を含めた手取りで決めるものです。確定申告書の見方で迷ったら、下のどれかへ。
数字を見てから、決めてください。
売れ、とも持て、とも私は言えます。仲介業者ではないからです。出口は3つ用意してあります。
*本記事は一般的な説明です。税率・特例は変わることがあり、個別の税務判断は税理士にご相談ください。個別の物件の価格を示すものではありません。*