ひさです。今日は「いつ売るか」の話をします。
営業の人にも、売却サイトにも「金利が上がる前に売ったほうがいい」と言われました。本当ですか。

半分本当で、半分違います。どっちの半分があなたに当たるかは、数字を見ないと分からない。だから両方書きます。
正しい半分。金利上昇は2か所から同時に来る
金利が上がれば返済が増える。ここまでは誰でも知っています。見落とされているのは、もう1か所です。
買い手の返済も増える。買い手は投資家です。家賃から逆算して、自分の返済が回る値段でしか買いません。買い手の金利が上がれば、買い手が出せる値段は下がる。あなたの返済が増えるのと同じ日に、あなたの売値が削られます。
同じ金利上昇を、あなたの側と買い手の側に並べます。
この表の前提
あなたの返済は、トップのシミュレーターの試算条件(元利均等。金利が上がった時点の残債を、元の満期までの残り期間で組み直す。10年後の再計算は120回返済後の残債から)と同じ式です。買い手の値段は「家賃8.5万円、買い手が求める利回り=自分の借入金利+2ポイント」と置いた例。実際の買い手は物件・立地・築年で利回りを変えます。2.4%は代表的な金利ではなく、計算の起点です。
それでも、形は変わりません。金利が1ポイント上がると、あなたは月1万3千円多く払い、買い手は400万円台安くしか買えなくなる。「上がってから考える」は、両方を食らってから考える、という意味です。
ここまでが正しい半分。
違う半分。理由は3つある
いつ上がるかは、誰にも分からない
「上がる前に売る」には、いつ上がるかを当てる必要があります。当てられる人はいません。私にも分かりません。
上がらなかった場合、あなたは何を手放したことになるか。2.4%のまま5年持てば、残債は2,500万円から約2,112万円に減ります(元利均等の理論値)。388万円分、部屋があなたのものに近づく。上がる前に売った人は、この388万円を手放しています。金利が上がれば減り方は鈍る。3.4%なら5年後は約2,154万円。それでも減ることは減ります。
売るには、費用と税金がかかる
2,000万円の部屋を売ると、仲介手数料の上限(売値×3%+6万円+消費税)を含めて、費用は80万円前後が目安です。買値より安く売っても、減価償却の分だけ税金が出ることがある。この話は「5年の壁」の記事に書きました。「上がる前に急いで売る」が、費用と税金を見ずに急ぐことになっていないか。急いだ人ほど、ここを飛ばします。
数字が黒字なら、持つ選択が成り立つ
持つ選択が成り立つ部屋
家賃から管理費・修繕積立金を引いた額が、3.4%に上がった後の返済額を上回っている部屋。残債が小さい人、家賃が高い人、頭金を多く入れた人がここに入ります。金利が1ポイント上がっても手出しにならない。
そういう部屋を「金利が上がるから」と急いで売る理由を、私は見つけられません。仲介業者ではないので、「持て」と言えます。
では、何を見て決めるか
金利のニュースではなく、自分の数字です。ニュースは全員に同じことを言う。あなたの返済予定表は、あなたにだけ違うことを言います。
| 見るもの | どこにあるか | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 残債・金利・残り年数 | 返済予定表 | 上の表の「あなたの行」 |
| 次の金利見直しの基準日 | 契約書(年2回が多い) | 返済がいつ変わるか |
| いまの家賃 − 管理費・修繕積立金 | 通帳・管理会社の明細 | 3.4%の返済を超えているか |
| 同じ建物の売出価格の帯 | 売却想定の特集 | 買い手が出せる値段と、売り手の希望の差 |
4つ揃うと、あなたが「上がる前に売る側」なのか「上がっても持つ側」なのかが出ます。
今日やること
「金利が上がる前に売れ」は、4番でいま売るほうが小さい人にだけ正しい。まずトップの金利上昇シミュレーターで、+1.0ポイントの返済額を出してください。そこから先は、下の3つのどれかで私に見せてもらえれば、一緒に表を作ります。
数字を見てから、決めてください。
売れ、とも持て、とも私は言えます。仲介業者ではないからです。出口は3つ用意してあります。
*返済額は元利均等返済の計算式による理論値で、トップのシミュレーターと同じ試算条件です。買い手が出せる値段は、家賃と利回りを置いた計算例であり、市場の予測でも査定でもありません。個別の契約の返済額は金融機関の返済予定表が正です。個別の物件の価格を示すものではなく、売却の査定・媒介は免許を持つ不動産会社が行います。*