ひさです。相談で一番多い問いに、表で答えます。
このまま貸し続けるのと、いま売るのと、どっちが損が小さいですか。

答えは「あなたの数字による」。それでは話が進まないので、トップのシミュレーターの試算条件に家賃と経費を置いて、持つ場合と売る場合を同じ表に並べました。自分の数字に置き換える型として読んでください。
試算の条件(例であって、あなたの数字ではない)
借入残高2,500万円・金利2.4%・残り25年・元利均等で、毎月の返済は110,899円。家賃8.5万円、管理費・修繕積立金が月1.2万円、固定資産税・都市計画税が月換算0.5万円。売却想定価格は2,000万円(残高−500万円の仮の価格)から、5年ごとに10%下がる(1,800万→1,620万→1,458万円)。金利上昇の場合は、今すぐ+1.0ポイント(3.4%)で組み直す(返済123,819円)。
売却の費用(約80万円〜)と税金は、いつ売っても同じようにかかるので表から外しました。空室・修繕も入れていません。
数字の意味
2.4%は代表的な金利ではなく、−500万円は査定ではなく、10%は予測ではありません。計算の起点です。価格が上がる建物もあります。
表1。金利が2.4%のまま動かない場合
毎月の手出しは、返済110,899円 + 経費17,000円 − 家賃85,000円 = 42,899円。
| 選択 | 売却想定価格 | 残債 | 売却差額 | 手出しの累計 | 損益(差額 − 手出し) |
|---|---|---|---|---|---|
| いま売る | 2,000万円 | 2,500万円 | −500万円 | 0 | −500万円 |
| 5年持って売る | 1,800万円 | 2,112万円 | −312万円 | −257万円 | −569万円 |
| 10年持って売る | 1,620万円 | 1,675万円 | −55万円 | −515万円 | −570万円 |
| 15年持って売る | 1,458万円 | 1,182万円 | +276万円 | −772万円 | −496万円 |
10年持つと、売却差額は−500万円から−55万円まで縮みます。でも、その10年で515万円の手出しを払っている。足すと−570万円。いま売る−500万円と、ほぼ同じです。15年で差額がプラスに転じても、損益は−496万円。
つまりこの条件では、「待てば楽になる」は残債が減る分を、毎月の手出しで先払いしているだけです。楽になっているのではなく、払う場所が変わっている。
表2。今すぐ金利が3.4%に上がった場合
毎月の手出しは、返済123,819円 + 17,000円 − 85,000円 = 55,819円。
| 選択 | 売却想定価格 | 残債(3.4%) | 売却差額 | 手出しの累計 | 損益 |
|---|---|---|---|---|---|
| いま売る | 2,000万円 | 2,500万円 | −500万円 | 0 | −500万円 |
| 5年持って売る | 1,800万円 | 2,154万円 | −354万円 | −335万円 | −689万円 |
| 10年持って売る | 1,620万円 | 1,744万円 | −124万円 | −670万円 | −794万円 |
| 15年持って売る | 1,458万円 | 1,285万円 | +173万円 | −1,005万円 | −832万円 |
金利が1ポイント上がると、持つほうの損益が毎年広がります。10年で、いま売るより約300万円大きい。「持つ」が成り立つかどうかは、金利が決めます。
この表が言っていること、言っていないこと
言っていることは2つ。手出しがある部屋は、持っても損益は縮まない(表1)。金利が上がれば広がる(表2)。それと、「売却差額がプラスになる年」と「損益がプラスになる年」は別だということ。差額が+276万円でも、損益は−496万円です。
言っていないこと
手出しがない部屋には、当てはまらない。家賃が返済+経費を上回っている部屋は、持つほど損益がプラスに積み上がります。そういう部屋は持てばいい。私は仲介業者ではないので、そう言えます。
価格が上がる場合。5年ごと10%下落は起点であって、上がる建物もあります。上がるなら、持つほうが有利になる。
売却費用と税金。いつ売っても同じにかかると置きましたが、税率は所有5年を境に変わります(「5年の壁」の記事)。
自分の数字で作り直す手順
2枚の表で、いま売る行と、5年・10年持つ行を見比べてください。1番の残債はトップの金利上昇シミュレーターがそのまま出します。表の作り方で迷ったら、下のどれかへ。私が画面を共有して一緒に作るのが、一番早いです。
数字を見てから、決めてください。
売れ、とも持て、とも私は言えます。仲介業者ではないからです。出口は3つ用意してあります。
*数字は元利均等返済の計算式による理論値で、トップのシミュレーターと同じ試算条件に家賃・経費を置いた試算です。代表的な金利・査定額・価格の予測ではありません。売却費用・税金・空室・修繕は含めていません。個別の物件の価格を示すものではなく、売却の査定・媒介は免許を持つ不動産会社が行います。*