ひさです。今日は「利回り」を3段で削ります。
利回り4%と言われて買いました。銀行の定期より全然いいと思って。

その4%は「表面」です。家賃を価格で割っただけの数字で、あなたの財布とは関係がない。財布が動くのは3段下の数字です。
モデルケース。前提を全部書く
価格2,500万円、家賃8.5万円(年102万円)。購入時の諸費用(登記・ローン手数料・不動産取得税など)が80万円。
経費は、管理費と修繕積立金が月1.2万円、固定資産税・都市計画税が年6万円、管理会社への委託料が家賃の5%、空室と入れ替えが家賃の5%、原状回復と設備更新の積立が年5万円、火災保険が年1万円。ローンは2,500万円・金利2.4%・35年・元利均等で、月88,039円の理論値です(2.4%は代表的な金利ではなく計算の起点)。
どれも「よくある」水準で置きました。あなたの部屋の数字は、あなたの明細で確かめてください。
1段目。表面利回り 4.1%
102万円 ÷ 2,500万円 = 4.08%。営業マンの資料にある数字です。経費が1円も入っていません。
2段目。実質利回り 2.5%
| 経費 | 年額 |
|---|---|
| 管理費・修繕積立金 | 14.4万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | 6.0万円 |
| 管理委託料(家賃の5%) | 5.1万円 |
| 空室・入れ替え(家賃の5%) | 5.1万円 |
| 原状回復・設備更新の積立 | 5.0万円 |
| 火災保険 | 1.0万円 |
| 経費の合計 | 36.6万円 |
家賃102万円から経費36.6万円を引いて、純収入65.4万円。これを、価格に諸費用を足した2,580万円で割ります。65.4 ÷ 2,580 = 2.53%。
表面4.1%が、実質2.5%になりました。消えた1.6ポイントは、部屋を持っているだけでかかるお金です。
3段目。ローンを引いた後 −40万円
ローンの返済は年105.6万円(月88,039円×12)。純収入65.4万円から引くと、−40.2万円。月にすると3.4万円の手出しです。
「家賃で返済が回ります」の資料は、1段目の102万円と返済105.6万円を並べて「ほぼ回る」と見せます。2段目の経費36.6万円を挟むと、回りません。
公平に書いておく
返済105.6万円のうち初年度の元金分は約46万円で、これは残債が減る分です。現金は40万円出ていくが、帳簿の上では残債が46万円減っている。だから「損」は年40万円ではなく、その差し引きで見る必要があります。ただし、財布から出ていく40万円は、帳簿では埋まりません。
「からくり」の正体。実質2.5% − 金利2.4% = 0.1ポイント
3段を1行にすると、実質利回り2.5% − 借入金利2.4% = 0.1ポイント。物件が生む利回りと、借りているお金の金利の差が、これしかない。この差が「投資として残る部分」です。
0.1ポイントは、経費のどれか1つが動けば消えます。家賃が3,000円下がる。修繕積立金が上がる。空室が2か月続く。どれか1つで、マイナス。
表面利回り4%の部屋を金利2.4%で買うと、投資の取り分はほぼゼロ。これが「利回りのからくり」です。営業マンは1段目を見せ、あなたの財布は3段目で動きます。悪意があったかどうかは、私には分かりません。ただ、1段目しか見せない資料を、私は何十枚も見ました。
持つ選択が成り立つ部屋
差が1ポイント以上ある部屋
頭金を多く入れて借入が価格の7割以下。買値が安く、実質利回りが3.5%を超えている。金利が1%台。こういう部屋は、金利が1ポイント上がっても取り分が残ります。私は仲介業者ではないので、そういう部屋には「持て」と言います。
売るとき、買い手はどの段を見るか
買い手は投資家なので、2段目(実質)で値段を付けます。あなたが「表面4%で買ったから、表面4%で売れる」と考えても、買い手は経費を引いた純収入65.4万円を、自分の求める利回りで割る。
買値2,500万円の部屋が、買い手の目には1,600万〜2,200万円に見える。表面と実質の差は、売るときに値段の差として返ってきます。
今日やること
4番の数字が、あなたの部屋の「本当の利回り」です。トップの金利上昇シミュレーターで、金利が上がったときの返済も横に置いてください。経費の埋め方で迷ったら、下のどれかで。明細の写真があれば、私が一緒に埋めます。
数字を見てから、決めてください。
売れ、とも持て、とも私は言えます。仲介業者ではないからです。出口は3つ用意してあります。
*数字はモデルケースによる試算で、経費の水準・金利・買い手の求める利回りは前提として置いたものです。返済額は元利均等返済の計算式による理論値で、個別の契約は金融機関の返済予定表が正です。個別の物件の価格を示すものではなく、売却の査定・媒介は免許を持つ不動産会社が行います。*