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ワンルーム投資は、悪だ。~被害報告局~

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修繕積立金は、上がる前提で売られている。25㎡のワンルームで月3,000円が8,000円台になる計算を、国交省の目安でやった

修繕積立金は、上がる前提で売られている。25㎡のワンルームで月3,000円が8,000円台になる計算を、国交省の目安でやった

ひさです。手口の話、4本目です。今日は営業マンの言葉ではなく、営業マンが言わなかった数字の話をします。

相談者
相談に来た人

管理組合から、修繕積立金を倍にするという議案が来ました。買うとき、そんな話は聞いていません。

ひさ
ひさ

聞いていないのは本当だと思います。でも、上がることは最初から決まっていました。新築のときの積立金は、上げる前提で安く置かれた「初期値」だからです。国の資料で確かめます。

国交省の目安。平均は1㎡あたり月335円

国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で、長期修繕計画の事例366件から、修繕積立金の目安を出しています(平成23年策定・令和6年6月改定。2026年9月18日に確認)。計画期間の全体で均した、専有面積1㎡あたりの月額です。

建物の規模平均値事例の3分の2が収まる幅
20階未満・延床5,000㎡未満335円/㎡・月235〜430円
20階未満・5,000〜10,000㎡未満252円/㎡・月170〜320円
20階未満・10,000〜20,000㎡未満271円/㎡・月200〜330円
20階未満・20,000㎡以上255円/㎡・月190〜325円
20階以上338円/㎡・月240〜410円

機械式駐車場があれば、ここに加算が乗ります。投資用ワンルームの建物は、戸数が少なく延床5,000㎡未満に入るものが多い。一番上の行です。

この目安の読み方

ガイドラインの事例は「区分所有者が自ら居住する住居専用のマンション」です。投資用ワンルームそのものの統計ではありません。国交省も、目安の幅に収まっていないから直ちに不適切、とは言っていない。ただ、外壁・屋上防水・給排水管・エレベーターを直す費用は、住んでいるのが所有者でも入居者でも変わりません。

25㎡に当てはめる

25㎡のワンルームに、一番上の行を掛けます。

25㎡のワンルームの修繕積立金(国交省の目安を掛けた月額)新築時の設定(置いた例)3,000円目安の幅の下限(235円×25㎡)5,875円目安の平均(335円×25㎡)8,375円目安の幅の上限(430円×25㎡)10,750円
20階未満・延床5,000㎡未満の行。機械式駐車場があれば加算

平均で月8,375円。幅の下限でも5,875円です。新築のときに月3,000円と書かれていた部屋は、どこかで月5,000円以上、上がる計算になる。3,000円という数字が間違っていたのではありません。最初から「あとで上げる」設計だったということです。

「段階増額」という設計

修繕積立金の集め方は2つあります。計画期間を通して同じ額を集める「均等積立方式」と、最初は安く、あとから段階的に上げる「段階増額積立方式」。新築の分譲では、後者が多い。月々の負担が小さく見えるほうが、売りやすいからです。

国交省は2024年6月7日、この段階増額に歯止めをかける考え方を出しました。

国交省の考え方(2024年6月7日)。段階増額の上げ幅に歯止め計画の初期額均等積立の基準額の0.6倍以上計画の最終額均等積立の基準額の1.1倍以内
基準額が月8,375円なら、初期額は5,025円以上・最終額は9,213円以内

裏を返すと、それまでは初期額が基準の0.6倍を下回る計画も、最終額が何倍にもなる計画も、珍しくなかったということです。あなたの建物の計画がどうなっているかは、管理組合の長期修繕計画に書いてある。販売時のパンフレットには、たいてい書いてありません。

上がった分は、2か所に効く

月5,375円(3,000円→8,375円)上がったとします。

まず、あなたの手出しが増える。年64,500円、10年で64万5千円です。金利が1ポイント上がったときの返済増(残債2,000万円・25年で月約1万円)の半分が、金利と関係なく乗ってくる。

もう1つは売値です。買い手は家賃から経費を引いた純収入で値段を付けます。積立金が年64,500円増えれば、買い手の純収入は同じだけ減る。

積立金が年64,500円増えると、買い手が出せる値段はいくら下がるか買い手の求める利回り 4.0%−約161万円買い手の求める利回り 4.5%−約143万円買い手の求める利回り 5.0%−約129万円
64,500円 ÷ 利回り。利回りは置いた例

月5,000円台の値上げが、売値では100万円を超える差になります。しかも買い手は、値上げが決まってからではなく、長期修繕計画を見て「これから上がる」と分かった時点で、上がった後の額で計算します。

上がらないほうが、もっと悪い

ここまで読むと「値上げの議案には反対しよう」と思うかもしれません。私は勧めません。

積立金が足りない建物は、大規模修繕の時期に一時金を集めるか、工事を先送りします。一時金は1戸あたり数十万円の単位になることがある。先送りすれば外壁や配管が傷み、入居者が付きにくくなり、買い手の融資も付きにくくなる。積立金が安いままの建物は、安いのではなく、払いを後ろに回しているだけです。

持つ選択が成り立つ部屋

積立金がすでに目安の幅(25㎡なら月5,875円以上)に入っていて、修繕積立金の残高が長期修繕計画どおりに貯まっている建物。こういう建物は、これから大きく上がる理由がありません。そこに手出しが無いか小さいなら、持つ選択は成り立ちます。私は仲介業者ではないので、そういう部屋には「持て」と言います。

今日やること

今日やること1いまの修繕積立金を、専有面積で割る1㎡あたり月いくらか。235円を下回っていれば、これから上がる側2管理組合の長期修繕計画を取り寄せる管理会社に頼めば出る。値上げの時期と額が書いてある3修繕積立金の残高と、次の大規模修繕の予定年・工事費を見る足りなければ、値上げか一時金4値上げ後の額で、毎月の手出しと、買い手の純収入を計算し直す年の増加分 ÷ 4.5% が、売値への効き方の目安

4番まで出すと、あなたの部屋の「これからの経費」が見えます。営業マンの資料にあったのは「買った日の経費」でした。トップの金利上昇シミュレーターで金利上昇の分を出し、そこに積立金の値上げ分を足してください。それが、これから毎月出ていく額です。長期修繕計画の読み方で止まったら、下のどれかで。表の写真があれば、私が一緒に読みます。


*修繕積立金の目安は、国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)の数値です。目安は自ら居住する住居専用マンションの事例から算出されたもので、個別の建物の適正額を示すものではありません。新築時の額・値上げ幅・買い手の利回りは、計算のために置いた例です。個別の物件の価格を示すものではなく、売却の査定・媒介は免許を持つ不動産会社が行います。*

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