ひさです。
売るときは、ローンを全額返します。そのときに銀行へ払う手数料を、契約書で見たことはありますか。
手数料なんて、数千円でしょう?
そういう銀行もあります。ただ、率で取る銀行もあります。今日は3行の説明書を取ってきて、同じ条件で並べました。
残債2,000万円のとき、いくら引かれるか
同じ「全額繰上返済」で、40万円と6,600円と5,500円。いちばん高いところといちばん安いところで、約73倍です。
- SBJ銀行 ANY住宅ローン: 「一部または全額繰上返済手数料・・・いずれもご返済金額の 2.000%」
- 静岡銀行 アパートローン: 「①全額繰上返済:6,600円 ②一部繰上返済ならびに条件変更(一律):6,600円」(消費税等込み)
- 三井住友信託銀行 アパートローン(変動コース): 「(1)一部繰上返済5,500円(税込み)(2)全額繰上返済5,500円(税込み)」
この数字の読み方
40万円は、私が残債2,000万円で計算した例です。実際にいくらになるかは、あなたの契約と、そのときの返済金額によります。
そしてこれは3行だけの比較です。「投資用ローンは高い」とも「信託銀行は安い」とも書きません。並べたら73倍ちがった、という事実だけです。
静岡銀行のほうには、免除の条件も書いてある
同じ説明書に、こう続きます。
※繰上返済時(条件変更時)の残高が2百万円未満またはお借入日から繰上返済日(条件変更日)までの経過日数が1年未満の場合は不要です。
残高が200万円を切っていれば、かからない。こういう条件が書いてある行もあります。自分の契約書を読まないと分かりません。
借りるときにも、率で取られている
ついでに見つけたので、書いておきます。
SBJ銀行のほうは、借りるときの事務取扱手数料も「ご融資金額の2.200%(税込)」でした。2,000万円借りたら44万円です。静岡銀行のアパートローンは55,000円(当行22,000円+保証会社33,000円)。
入口で2.2%、出口で2.0%。借りて売るまでに、率で二度取られる形です。悪いことだとは書きません。書いてあるとおりに取られるだけです。ただ、売る日の手取りを計算するときに、この2行を忘れると数字が合いません。
もうひとつの違い:返済方法を選べるか
- SBJ銀行: 「元利均等返済または元金均等返済のいずれかの方法で」
- 静岡銀行 アパートローン: 「元利均等毎月返済」
これが効いてきます。au じぶん銀行の説明書には、こう書かれています(前に別の記事で読んだものです)。
未払(未収)利息は、元利均等返済の場合にのみ発生するもので、元金均等返済の場合には発生しません。
つまり、元金均等を選べる商品では、未払利息(繰延利息)が起きない選び方があるということです。金利が上がる局面では、ここが分かれ目になります。
「住宅ローン」という名前で、投資用に使える商品があります
SBJ銀行の商品名は「ANY住宅ローン」です。でも、お使いみちの欄にはこう書いてあります。
ご自宅、セカンドハウス、別荘、店舗併用住宅、賃貸用マンション、賃貸用不動産の購入・建築、借換資金
金融庁が2019年3月に公表した資料の脚注に、こういう一文があります。
金融機関は住宅ローンと認識していても、実態は投資用不動産向け融資である場合があることに留意する必要がある
商品の側にも、そう書いてある実例です。名前が「住宅ローン」でも、中身は投資用のことがあります。
🔴 「据え置かない」と書いてある行がありました
ここが今日いちばん大事なところです。三井住友信託銀行のアパートローンには、こう書いてあります。
変動コースの場合は、年2回利率を見直しますが、利率変更があった場合、毎回のご返済額(お利息込み)は再計算して、新しいご返済額を定めます。
この説明書に、5年ルールや125%ルールの記載はありません(「125」も「1.25」も一度も出てきません。私が数えました)。つまり金利が上がったら、その都度そのまま返済額が上がるタイプです。
これで、はっきり言えるようになりました
私は前に「5年ルールは返済を減らす仕組みではない」という記事を書きました。そのとき「あなたのローンにも5年ルールがあるとは書きません」と断りました。根拠は「確かめていないから」でした。
今回、据え置かないと積極的に書いてある行が実際に見つかりました。5年ルールが無い契約は、実在します。⇒ あなたの契約書を見るしかありません。
🚨 ここで線を引きます
見たのは「商品概要説明書」だけです
私が読んだのは、3行の商品概要説明書です。金銭消費貸借契約証書も、金利変動リスクの説明書も見ていません。
だから、「この説明書に書いていない=その銀行に無い」とは書きません。たとえば静岡銀行とSBJ銀行の説明書には、5年ルールや125%ルールの記載がありませんでした。でもそれは「無い」という意味ではなく、「この書面には無かった」という意味です。三井住友信託のように「据え置かない」と書いてあるのとは、意味が違います。
あなたの契約の中身は、あなたの契約書にしか書いてありません。
🔴 見るのは「概要書」ではなく「契約証書」です
ここは、あとから分かって書き足したところです。同じ静岡銀行で、書面によって書いてあることが違いました。
| 静岡銀行の書面 | 5年据置 | 1.25倍 | 未払利息 |
|---|---|---|---|
| アパートローン 商品概要説明書 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| 住宅ローン 商品概要説明書 | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| 金銭消費貸借契約証書【規定】 | あり | あり | あり |
契約証書の第26条には、こう書いてあります。
前条による借入利率の変更があっても、10月1日を基準日とする借入利率の見直しを5回行うまでは、毎回の元利金返済額は変更しないものとします。ただし(中略)毎回の元利金返済額に占める元金額および約定利息額が変更されます。
ただし、新返済額は、前回返済額の1.25倍を限度とします。
概要書だけ見て「うちのローンには5年ルールが無い」と思ってしまう——これが、いちばん危ない読み違いです。見るのは「金銭消費貸借契約証書」のほうです。
⚠️ ただし、この契約証書がアパートローンにも使われるかは、私には分かりません
この規定は、静岡銀行のサイトで公開されているものです。アパートローンにこの規定が使われるかどうかは、確かめられていません。だから「静岡銀行のアパートローンにも5年ルールがあります」とは書きません。
あなたの契約にどの規定が付いているかは、あなたの契約書の綴じ込みを見てください。
売る日に、もうひとつ精算するものがあります
同じ契約証書の第27条に、こうあります。
繰り上げ返済時に未払利息がある場合は、繰り上げ返済日に一括して支払うものとします。
これは前にオリックス銀行の不動産投資ローンでも読みました(「繰上返済や条件変更などを行う場合は、繰延利息の精算が必要です」)。2行で同じ形が確認できました。⚠️ ただし2行で見ただけなので、「どの銀行も」とは書きません。
売る日に引かれるのは、残債と手数料だけではありません。先送りされていた利息があれば、それも同じ日に精算されます。
今日やること
売値の話をする前に、引かれるほうを先に数えてください。仲介手数料、印紙、抵当権の抹消、そしてこの繰上返済手数料。率で書いてあったら、いまの残債に掛けてみてください。
数字を見てから、決めてください。
売れ、とも持て、とも私は言えます。仲介業者ではないからです。出口は3つ用意してあります。
*引用した文言は、SBJ銀行「ANY住宅ローン 商品概要説明書」(2025年8月29日現在)、静岡銀行「アパートローン」商品概要説明書(2022年4月1日現在)、三井住友信託銀行「アパートローン」商品概要説明書(2024年10月1日現在)のPDFを2026年9月22日に取得し、全文を読んで確認したものです。3行だけの比較であり、他行が同じだとは書いていません。読んだのは商品概要説明書のみで、契約証書や金利変動リスク説明書は確認していません。40万円は残債2,000万円で当方が計算した例で、実際の適用は契約によります。未払利息についての引用は au じぶん銀行「住宅ローン説明書」(K007-20260916)、金融庁の引用は「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」(平成31年3月公表)の脚注15です。個別の物件の価格は示していません。売却の査定・媒介は免許を持つ不動産会社が行います。融資の条件は、借入先の金融機関にご確認ください。*