ひさです。今日は、新築で買った人の5年後の話です。
5年前に新築で買いました。そろそろ売ろうかと思って同じ建物を見たら、買ったときより高く出ている部屋があって。

出ている値段と、売れる値段は別です。新築で買った部屋を5年で売るときは、3つの数字を並べます。残債、買い手の評価、そして売出価格。順に出します。
試算の条件
新築2,500万円、借入2,500万円(自己資金は諸費用のみ)、金利2.4%、35年、元利均等。家賃は新築時8.5万円。2.4%は代表的な金利ではなく、計算の起点です。
数字1。残債は5年で242万円しか減らない
35年ローンの最初の5年は、返済の半分以上が利息です。月88,039円を60回、528万円払って、元金は242万円減る。残債は約2,258万円。ここが、5年で売るときの下限の目安になります。
数字2。買い手の評価は、家賃が決める
買い手は投資家です。家賃から逆算します。新築時の家賃8.5万円が、5年たって8万円になったとします(新築の割増しが消え、周辺の中古と並ぶ。下がり幅は建物と場所で違う)。
| 買い手が使う家賃 | 求める利回り4.5% | 求める利回り5.0% |
|---|---|---|
| 8.5万円(新築時のまま) | 約2,267万円 | 約2,040万円 |
| 8.0万円(5年で−6%) | 約2,133万円 | 約1,920万円 |
残債2,258万円に対して、買い手の評価は約2,133万円。差額は−125万円。売却の費用(仲介手数料など約80万円)を足すと、決済の日に約200万円を用意する計算です。
数字3。売出価格は「希望」で、評価ではない
同じ建物に、買ったときより高い値段で出ている部屋がある。これは珍しくありません。当社の割高診断データ(2023〜2026年の売出資料3,985件)では、2020年以降に建った建物の売出価格は、53%が買い手の評価から大きく離れていて、評価との差は平均568万円でした。新しい建物ほど、売り手が「買った値段」で出す傾向があります。
高く出すのは自由です。ただ、その値段で売れたかどうかは、売出資料からは分かりません。売出価格を基準に「5年で得をした」と考えるのは、売れてからにしてください。
持つほうが成り立つ条件
5年で売ると約200万円の持ち出し。では持つとどうなるか。
持つ選択が成り立つ部屋
家賃8万円から管理費・修繕積立金と税金を引いた額が、返済88,039円を上回っているか、下回っていても月5,000円以内なら、残債が評価を下回るまで持つ道があります。この例なら、残債が2,133万円を切るのは8年目あたり(理論値)。その間の手出しが200万円より小さいなら、持つほうが損が小さい。「貸し続けるか、売るか」の記事の表で、自分の数字に置き換えてください。
持つときに見ておく2つ
金利が上がると残債の減りは鈍ります(日本銀行は2026年に2回、政策金利を上げました)。修繕積立金は新築の設定から上がる設計が普通です(「修繕積立金は上がる前提で売られている」の記事)。この2つを入れて計算し直すと、持つ年数が伸びることがあります。
今日やること
1番と3番は、トップの金利上昇シミュレーターに残高・金利・残り年数を入れれば出ます。同じ建物の売出価格を見て迷ったら、下のどれかで。売出価格と買い手の評価の帯を、一緒に並べます。
数字を見てから、決めてください。
売れ、とも持て、とも私は言えます。仲介業者ではないからです。出口は3つ用意してあります。
*残債は元利均等返済の計算式による理論値です。買い手の評価は家賃と利回りを置いた計算例で、査定ではありません。売出価格の傾向は当社の割高診断データ(2023〜2026年の売出資料3,985件)の集計で、売出価格は成約価格ではありません。個別の物件の価格を示すものではなく、売却の査定・媒介は免許を持つ不動産会社が行います。*